星空の下、キミとの約束。
「なんなんだ、本当に。」
「それは俺のセリフだ。」
私が独り言を呟くと、隣から恭弥が反応した。
「お前、今日ぼんやりしすぎ。本当にどうした?」
「そーだよ、ちょっと顔色も悪いし…。」
恭弥に続いて、紗南も言う。
今まで病気になったこともないし、ずっと元気だから、私が体調悪いのなんて珍しいんだよね…。
心配させちゃダメだ。
瞬間的にそう考えた私は、とりあえずいつものように騒いでみせた。
「えー、ちょっと寝不足なだけ!勉強しすぎたかなぁ」
「……菜摘。」
綾羽が私を「菜摘」と呼ぶのは真剣なとき。
いつもなら、察して真面目に答えるんだけど、私は、わざと気付いてないふりをしてその空気を振り払うように笑った。
「大丈夫だって!何もないし!ちょっと疲れが溜まってんのかも!」
私の明るい振る舞いに、綾羽も安心したのか、笑みを見せた。
「もう。頑張るのもいいけどちゃんと休みなよ?」
「うんうん、なっちゃんなら、受験なんて心配ないよっ!」
「あはは、そーだねー。今日は休もうかな!」
そんな女子の会話に、晴樹が口を挟む。
「俺なんか、休憩ばりばりとってるぜっ!」
「…お前は、もっと頑張れ。」
さっきまでとはガラッと変わっていつもの楽しい空気になったことに、私はほっとした。
ちょっとでも、表に出すと心配されちゃうんだな。
また、痛くなってもあんまり表に出さないようにしよう。
どうせ、すぐ治るだろうし。
私はそんなことを考えながら笑っていた。