弟くんの逆転
弟くんは甘い。
それは、突然。
――ドンッ
「…っと、ごめんね」
――ドキッ
「あ、いえ…」
豊浦(とようら)梓、どうやら初恋をしてしまったようです。
*
「…梓って、バカ?」
香乃に相談したところ、開口一番にそう言われる。
…胸のトキメキくらい、大事にしたっていいじゃんか。
「そんなこと言うなら、もう香乃にお菓子作ってあげない」
「わー!ごめん!冗談だから!」
「…そう?」
「とりあえず、男心について、奈保にでも聞いてみれば?」
おぉ、ナイスアイディア。
確かに、自分の弟にそういうこと話すのは、なんか恥ずかしいし。
それに何より、奈保くん優しいから、きっと相談に乗ってくれるはず…!
「じゃ、じゃあ、今日の放課後、さっそく香乃の家に遊びに行ってもいい?」
「…いいけど、奈保、今日は部活あるよ?」
「あ、じゃあ、奈保くんの好きなレモンゼリー作ってから行くね」