3度目に、君を好きになったとき

気のせい、かな。

まさか蓮先輩が、私のことなんて異性として見ているはずがない。




ホッキョクグマは他にも何匹かいるようで。

そのうちの一匹が水中へ飛び込み、私たちのすぐ目の前に現れ、周囲から歓声が上がる。

白い毛をなびかせ悠然と泳ぐ姿は迫力があった。


かなり分厚いとはいえ、ガラス一枚しか隔てていないこの状況。

知らず知らずのうちに緊張していたらしく、私は先輩の手をぎゅっと握りしめてしまった。


「あ……ごめんなさい」


周りに観客が多すぎて、私の声は届かなかったのか。蓮先輩からの反応はない。


代わりに突然、繋いでいた手を解放される。

ホッキョクグマを夢中で撮影する人が、私にぶつかりそうになっていて。蓮先輩が私の肩を引き寄せ、避けてくれたのだ。


それはまるで、片腕で抱きしめられているみたいな感覚で……。


「大丈夫? 人が多いから、怪我しないようにね。僕から離れたら駄目だよ」


心配そうに見下ろされ、熱くなった頬を意識しながら、小さくうなずくので精一杯だった。


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