福山先輩、あのね。

「くだらないこと言うなよ!!」


激しい怒声が響いた。雷が落ちたように空気がビリビリと振動し、男子生徒はびっくりした顔で黙りこむ。


「……迷惑なんだ」


うなるような低い声で、先輩が言った。


「………っ」


わかっていたこと。じゅうぶん自覚していたこと。

だけどやっぱり、本人の口から直接聞くその言葉は、どんなナイフよりも鋭くわたしの胸を切り裂いて―――



わたしは逃げ出すように、その場から走り去った。


< 57 / 82 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop