君の優しい嘘と僕の哀しい嘘
これは私の話ーー

”さよなら”
そう言った私に、あなたは言ったわね。
さよならなんて… ”また嘘なんだろう?”って。
そうね…私はいつもあなたをからかって小さな嘘を沢山ついたね。
「あなたの髪に虫がいるわっ!」
ーー嘘。ふわふわなあなたの髪に触れたかったの
「私は暖かいからあなたの手を暖めてあげるわっ」
ーーこれも嘘。私の手はいつも冷たいの。あなたと手を繋ぎたくて、ね。
でもね…悲しいけどもう私の嘘は通用しなくなったのよ。
私だって”嘘だよ”って言いたかったよ?
何度も、何度も伝えなきゃって思ってた、言いたかった…私も…楽になり、たかった…

でもこれが”真実”。
私の病気はもう”完治しない”、もし生き延びたとしても私はあなたの負担になるしか無い。
でもそれだけは嫌。負担になんかなりたく無い。
だからね、私は初めて真実を含めた小さな嘘を付く事にしたの。

本当は、あなたが私を想い続ける事はとても嬉しいわ。お医者さんに「僕は彼女の側を離れたくはありません!」って言ってくれて嬉しかったのよ?
ーーでも私に”縛られて”欲しく無いの。私は重りになりたく無い。私に出来る事があれば、あなたの為に何でもしようと思えたわ。でも、私を笑わせようとつけない嘘をついたあなたを見て思ったの。

”私はあなたの幸せを守りたい”
”あなたの心の中で小さく残る記憶の欠片で充分”

まだあなたは若いから…だから、あなたはあなたの幸せを。この先私の代わりになってくれてあなたを愛してくれる人と居て生きて欲しい。
ちょっと嫉妬はしちゃうわよ?でもそれくらい、良いわよね?
だから長い間ありがとね。欲を言うなら出来ればもっとあなたと居たかった…
あなたの下手な嘘を、もっと聞いて、居たかったなーー

でもねそれ以上に私の大切があるの。
それは私の夢。言っておくけどね結婚じゃ無いんだよ?私の夢は、あなたの幸せを願っていく事。
だから今はあなたの”彼女”に”奥さん”に一番近い存在であれる内に”さよなら”が言える。

だから、正しく言い換えるならーー
”少しの間、さよなら。私の大好きな。愛しいあなた”

出来ればこれから先のあなたが私以上に幸せな日でありますように…
ーー祈りを込めて、おやすみなさい。
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