墜落的トキシック
小学生の頃も、中学にあがっても、
そして高校生になっても。
……ううん、もっと。
もっと前、物心ついた頃から。
私の隣にはいつもハルがいた。
これも、自惚れなんかじゃない。
私は誰よりもハルの傍にいたの。
それは、紛れもない事実。
だから、自惚れていた。
ハルの好きなことも、苦手なことも
癖も、気持ちも、考えていることも
私にかかれば、お見通しなんだって。
────なのに。
『別れよう』
なのに、私はまだ理解できずにいる。
何一つ理解できないまま、鼓膜にこびりついている。
何の前触れもなく、突然ハルの口から告げられた終わりの言葉。
あんなにもはっきりと拒絶されたのは、後にも先にもあの一回だけ。
「花乃?」
思考に溺れそうになってうつろな目をしていた私を、心配そうにハルが覗き込んだ。
「ごめん、ぼーっとしてた」
「ふ、花乃らしいけど。危ないからちゃんと気をつけて」
こくん、と頷く。
頷いた私を見て微笑んだハルは、いつものように口を開いた。