無気力なキミの独占欲が甘々すぎる。



それこそ、理性ってやつがぜんぶ飛んでしまうくらい……


目の前の夏向でいっぱいになってしまう。



「なんも言わないなら俺のしたいようにするけど」


夏向の指先が、わたしの制服のリボンをシュルっとほどいた。


「ま、まって……っ」


その手を止めるために声をあげた。
それと同時に、夏向の手はピタッと止まった。


「……なに?」


だけど止まったはずの手が、今度はわたしの手に触れて、指を絡らめてきた。


わたしは、その手を握り返すことができないまま、声を振り絞って、夏向に言った。



「夏向は……わたしのこと好きじゃないの……っ?」



小さく、独り言のようにつぶやかれた自分の声。


だけど、静かすぎるこの空間には十分聞こえる大きさだった。



わたしの問いかけに、夏向は表情ひとつ変えようとしない。


たぶん……内心面倒くさいって思っているんじゃないかな……。

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