無気力なキミの独占欲が甘々すぎる。



胸の奥にある、夏向への気持ちを口に出してしまいそうでこわい。



「遅くなったけど、俺からのプレゼント」


「っ……、ずるいよ、かなたのバカ……っ」



抱きしめられながら、夏向のシャツをギュッと握る。



素直にありがとうなんて言える余裕は、今のわたしにはない。



嬉しい気持ちだってあるけれど、


それよりも、どうしてわたしに同じピアスを贈ってくれたのか……


これじゃ、まるで夏向の特別な子になったみたいに錯覚してしまうから……。



「……ずるいのは冬花も同じ」



「な、何が同じなの……。わたしのこと嫌いなくせに、なのになんでこんなものプレゼントするの……っ!

もう夏向のことわかんないよ……。
きらい……きら……っ」



止まらなかったのに、夏向が無理やり止めるように唇を塞いだ。



無理やりなのに、優しくて……。






「きらいでいいから

俺のものでいてよ……冬花」





想いは矛盾ばかりで

交わらない……。

< 189 / 335 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop