夕闇の時計店
神の、力……?

「んー、っ」

反論しようとするも口を塞がれているため言葉にならない。

「おい、一旦離せ。叫ぼうとすれば舌を切る。生きてさえいれば傷つけてもいい依頼だ」

物騒なこと言わないでよ……。

口が自由になり、深く息を吸って吐く。

「……私は、神の力?だか知らないけど、そんなの持ってません」

生まれてから今まで、普通の人間だもん。

「嘘つくな。緋瀬夜一が連れてる女、そいつが神の力を持ってるって言われてんだよ。黙って運ばれろ」

「……!……っ!」

再び、口を塞がれ抵抗する。


…………やってしまった。

「!?」

暴れさせた足が当たり、怒った男の姿が鬼に変わると刃物を掲げた。

「足を不自由にするくらいなら、いいよな?」

逃げないと……!

「んんっ……」

緋瀬さん……助けて……!
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