夕闇の時計店
優しく、大きな体に包まれた。

「衣月は人間で、俺の妻だ」

「!?」

「は……!?」

私と氷宙さんの同じ反応が重なる。

「妻……って夜一、女関係一切なかったのに恋人通り越して妻!?しかも人間って。驚きすぎてボク顎が外れそうだよ」

「そうか。外しておけ」

どうしよう、会話についていけない。

妻!?え、そ……確かにプロポーズみたいな告白をし合ったけど!

「緋瀬さっ」

「そういうことだから、俺たちは帰る。後始末は頼んだ」

どういうことですか!?

答えを求めて見上げると、緋瀬さんの顔は真っ赤だった。

「まあ夜一が惚れたってんならいいけどさあ。衣月ちゃん、不器用な男だけど夜一のことよろしくね。あ、俺はいつでも歓迎だよ!お店にも来てね!」

最後まで明るく話し続ける氷宙さんの横を早足で去る。

繋がれた手を離さないように強く握ってついていく。
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