欲望の館~ウザい奴らは消えてゆく~
「ただいま…」

戻って来た雁翔の表情がどこかおかしいと音緒はすぐに気がついた。
が、刹那、

ガシッ

剣が音緒に後ろから抱きついた。
そして、音緒の耳元で、

「ごめんな…音緒。」

と囁いた。

音緒が再び雁翔を見上げると、雁翔の手には包丁が握られており、その刃は音緒へと向けられていた。

「何の真似だ…?」

真顔で問う音緒。

音緒を抱きしめる力を緩めない剣。

震えた手で包丁を握りしめる雁翔。

その場にいた3人はもはや、中学3年生の純粋な少年では無かった。
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