秀才男子は恋が苦手。




「ちょっと数学の参考書を買いに」


「ふーん?ちょっと見して!」



そう言って俺の手から勝手に参考書を奪う伊東。



「おい!」


「へー意外!基礎編?カラフルで読みやすそうだし、筒井くんってもっと難しそうなの読んでると思ってたよー!」


「…別に俺のじゃないから」



え、と伊東がキョトンとしたタイミングで参考書を取り返す。


ったく、この強引なところ、本当千葉にそっくりだな。



「自分のじゃないって…じゃぁ誰の?」


「………」


「もしかして亜衣の?」





「………悪いかよ」




沈黙五秒。




「マジっすか!!!!」


「痛っ」




俺はなぜか伊東に思い切り肩を叩かれた。




< 28 / 107 >

この作品をシェア

pagetop