恋愛初心者です、お手柔らかに?
「聞いてますか?」

私の両肩を持つと、齋藤君はグイっと体を離し、顔を覗き込んできた。

近い。
近すぎるから。

恥ずかしくなった私が顔をそらすと、顎を掴んで、顔を上げさせた。

「俺を見て下さい」

あの、見れないから。
破壊力ありすぎて、見れないから。

「永山さん…好きなんです。昨日、男として俺を見てほしいって言ったんです」

男として?
後輩じゃなく?
ホントに?

これは夢なのか、リアルな妄想なのか。

言葉が出ず固まっている私に、齋藤君は私をもう一度強く抱きしめた。

「齋…君…」

「俺、永山さんが、佐々木さんを好きでもいいんです。俺の事見てくれるまで待ちますから!」

「え?和己さん….?なんでそこで和己さんが出てくるの?」

いきなり和己さんの名前が出てきて、驚いた。

「なっ、だって…好きなんでしょ?佐々木さんの事が…」

私が?
誰を好きって?

「やだ、あはは」

私は齋藤君の顔を見上げ、笑っていた。

「あの、永山さん」

「あはは、ご、ごめん。私も勘違いしてるけど、齋藤君も勘違いしてるなって思ったの」

「違うんですかっ?じゃ、白石さんですか?」

なぜそこで白石さんの名前が?

私は、齋藤君から勇気をもらった。次は、私が言う番よね。

長かった片思いの告白を。

戸惑う齋藤君の頬に手を添え、私は息を吸った。

「私が好きなのは…齋藤君よ。ずっと前から好きだったの」
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