君と僕のキセキ

〈とにかく方針としては、もっとお互いを理解するってこと。たくさん話す時間を作って、彼女のことをもっと知るの。そしたら同時に、キミ自身のことも知ってもらう。自分ではわかってないだろうけど、キミは意外と魅力的だから。きっと大丈夫〉



「うん。ありがとう」

 ありきたりな励ましでも、伊澄に言ってもらえると、なぜか自信が持てる。



〈そんなわけで、次に明李さんと会ったら何が何でも誘うように。私のことは気にしないで。もしお昼にキミが来なかったら、ああ、きっと今ごろ一緒にいるんだなって思って、ここから応援しててあげるから。……っと、時間だ。じゃあ、そろそろ行くね〉



「うん。本当にありがとう。頑張ってみる」

〈どういたしまして。その代わり、進展があったらちゃんと報告してよ〉

「わかってる」



 こうして、僕は伊澄に、明李さんに対する片想いの相談をしたのだった。

 自分の恋心を人に話すのは初めてだったにもかかわらず、あまり恥ずかしさは感じなかった。



 声だけで繋がっている関係のためか、気持ちを誇張なくストレートに口にできた。それに、伊澄が所々で茶化しながらも真剣に聞いてくれたおかげでもあるのだろう。



 ――次に明李さんと会ったら何が何でも誘うように。

 伊澄に告げられたミッションを胸に強く刻んで、僕は小屋から出た。



 あれ? 明李さんって名前まで伊澄に教えたっけな。でも彼女が知ってたってことは、僕がいつの間にか明李さんの名前を口にしていたのだろう。記憶にはないけれど。



 なにはともあれ、僕は心強い味方を得たのだ。

 たとえ無謀な恋だとしても、砕け散るまであがいてみよう。
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