剛力家の三兄弟

うつ向いて歩いていた真奈美がいけなかった様で、前から歩いて来た人に気づかず、ぶつかってしまった様だ。

「前を向いて歩かないと危ないよ?」

「すいません…」

真奈美は謝罪の言葉だけを言って、そのままその人の横を通りすぎようとした。しかし、腕を捕まれてしまった。
そして、
「どこに行くの?行く所ないんでしょ?」と、優しい言葉を向けられた。

え?

顔を上げれば、そこには高そうなスーツを着た、ちょっとチャラそうなイケメン。モデルなみの八頭身体型で、薄茶色の髪をした男性がいた。

ぅわーカッコイイ!

見惚れている真奈美に、彼は少し長めのサラサラな前髪をかきあげ、微笑んだ。

「相談に乗るよ?付いておいで?」

自分の体の中で、“キュン”と、音がしたのが真奈美には分かった。
なんて素敵なんだろう…?
まるで王子様だわ!

…でも、ちょっと待って!
イケメンが、都合良く現れて、付いておいでなんて言うだろうか?
漫画じゃあるまいし?

顔は火照り、鼓動は早くなっていても、真奈美の頭の中は正常に機能してるようだ。

もしかして…これって危ないやつじゃないの⁉




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