その視界を彩るもの






それからのギャル男による質問攻撃は凄まじかった。

どこ住んでるの?身長は?髪って地毛?香水なに使ってる?ピアスホールは何個?―――その他諸々。



地元に関しては全くのウソを答えた。

身長は160センチ。これは隠す必要もないからそのまま。

髪って地毛?とか。こんな明るくて地毛な訳ないじゃん頭オカシイの?

香水は使ってるけど「使ってない」ってウソついた。なんか癪に障ったから。

ピアスホールに関してはもう質問する意味がわからない。隠したところでバレそうだから「四つ」と正確な答えを口にしたけれど。




――――だけれど、正直いうと我慢の限界だったから。






「アカネ」









少しだけ距離の隔てたところで何人目かも分からないパートナーと楽しむ彼女を、呼ぶ。

すると今までの喧騒がまるで嘘のように。水を打ったかのように静まり返った室内に思わず眉根を寄せたけれど、あたしは続けた。








「あたし、もう帰るから」








――――……思えばコレが、この一言が。

崩壊に繋がる切っ掛けだったのかもしれない。











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