君の隣で。


 兄貴は気づいてる。


 俺がずっと好きなことも、風香との間に何かあったことも。


 それが分かるからこそ、悔しくてキッと睨み付けた。


 そんな幼稚な俺を見て兄貴は、


「うん。知ってる」


 そう言って悲しそうに微笑んだ。



「知ってるよ。光がずっと風香のことが好きなこと」


「…………じゃあ、何で聞くんだよ。風香はもう兄貴の彼女だろ?」


 諦めろって言いたいのか?自分は大学生になって今よりも風香と一緒にいられないから心配なのか?


 今さらそんなこと言われたところで奪うつもりも、奪えるとも思ってねぇよ。

< 60 / 83 >

この作品をシェア

pagetop