君の隣で。


 走り続けて、ようやく目的の場所へたどり着いた。


 その場所へと一歩踏み込むと、とても懐かしくて何だか切なくなった。


 そして、何となくだけど風香がここにいる気がした。




 やって来た場所とは、幼い時から風香とよく遊びに来ていた公園。


 でも、普通に子供が遊ぶようなところではない。


 実はこの公園、少し坂を上がると景色を見渡せる高台のようなものが広がっている。


 そこを見つけた時から俺たちは何かあるとすぐにここに来ていた。


 ここに来るのは子供ばっかりだから、長い坂の先にある高台はなかなか人も来ない、言わば穴場スポット。



 ……前来たのはいつだったっけ。


 部活に熱中しすぎて来ることすら忘れていた気がする。



 そんなことを考えながら坂を上った。

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