無愛想な同期の甘やかな恋情
慌てて顔を前に向け直して、ブンブンと首を横に振る。


「お、覚えてます。ちゃんと」


言わされる形で口にすると、昨夜の記憶が嫌でもまざまざと脳裏に蘇ってくる。
今まで、ただの同期で仕事の相棒でしかなかった穂高君と、私は――。
途端に、私の身体がボッと熱を帯びた。


「よかった」


穂高君はふふっと笑って、後ろから私をぎゅうっと抱きしめてくる。
私の背中にぴったり重なる、彼の引き締まった胸。


「っ」


彼の逞しい腕の中で、私は身体を強張らせた。


「ほ、穂高君。離して」


裸の胸を掠める穂高君の手を意識して、頬がカアッと熱くなる。


「嫌だ」


なのに彼はどこか弾んだ口調で呟き、私の肩に顔を埋めてきた。


「んっ……」


首筋に穂高君の唇を感じて、私は鼻にかかった甘ったるい声を漏らしてしまった。


「穂高く……」

「確認しておきたいことがある」


彼の唇が、私の耳をくすぐる。


「な、なに」


肩も首も縮める私に、彼がふっと吐息を漏らした。


「昨夜は、確認する余裕もなかったのが不覚だけど」

「え?」
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