無愛想な同期の甘やかな恋情
穂高君の言葉を噛み砕いて解釈すれば、『中途半端に仲良くはしない』『男女の関係、すなわち、恋人同士』、そうとしか受け取れないのだけど。


嫌われてると思ってたのに。
穂高君と恋人同士って。
穂高君、私のこと好きなんだろうか……?
思考が激しく自惚れた方向に傾き、私は慌てて自分で否定した。


ないないない!
なに、調子に乗ってるの、私!!
首がぽろっと取れそうになるほど、激しくブンブンと横に振る。


あれは、酔っ払って面倒くさく絡んでしまった私に呆れ果て、黙らせようとしただけ。
でも、だからって、なんでキス……。


なにをどう考えても、穂高君が突然私にキスした理由を、探ろうとしてしまう。
おかげで、胸の鼓動がいつまでも治らない。


もう考えないようにするのが一番!と自分に言い聞かせた。
恋人でもない男の人とキスなんて、初めてだけど。
キス自体が初めてじゃないし、あれは酔った勢いの事故と考えれば、なんとか割り切れる。


穂高君と次に顔を合わせるのは、来週水曜のブランド定例会だ。
それまで時間はあるし、冷静に、いつも通りに振る舞えば大丈夫!


「酔ってて、覚えてないことにしよう。穂高君だって、あえて自分から触れたりしないはず……」


私たちがお互い話題にしなければ、そのままなかったことにできるだろう。
私は胸の前でギュッと拳を握りしめた。
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