見上げる空は、ただ蒼く
復学してから2ヶ月が過ぎた。

凜の私へのイジメはとどまる
ところを知らず、むしろ
どんどん過激化しているように感じる。

あるときはトイレの床に
顔を押し付けられて踏まれて。

またあるときは家庭科室の
アイロンを腕に当てられて。

殴られ、蹴られ、罵倒されて。

身も心もぼろぼろだった。

クラスメートは見てみぬフリ。

『結乃、大丈夫か?』

『ごめん、間に合わなくて。』

『今日は遊びに行こう。』

私を助けて励ましてくれるのは
気付けば奏だけになっていた。

「ごめんね......奏......。」

PTSDも悪化して休日は
ほとんど寝たきり状態の私。
そんなときでも、奏はいつも通り
私に優しくしてくれている。

私が震える声で謝ると奏は
最近はいつも同じことを言う。

「結乃を助けることは、
俺にとって贖罪なんだ。だから
結乃は謝んなくていいよ。」

贖罪。
罪を償うこと。

[俺にとって贖罪なんだ。]

どういう意味なんだろう。



私はこのことが原因で起きる



数ヵ月後の悲劇も知らずに



のほほんと考えていた。
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