見上げる空は、ただ蒼く
「困ったことがあればなんでも
言ってくれていいからね。」

落ち込む私を見て奏の代わりを
しようとしてくれている葉音。

朝は一緒に登校して、
昼は席を寄せてお弁当を食べて。
家に帰ればメールして。

私を慰めようとしてくれる葉音。

「ごめんね。」

ある日の昼食中に私はじっと
床を見つめながらぽつりと呟いた。
私には謝ることしか出来ない。

葉音は私を気にかけてくれている
けど、今の私には奏のことしか
考える余裕がなくて、葉音の
優しさを邪険に扱うことがあった。

「え......?どしたのいきなり。」

突然謝りだした私に、葉音は目を
ぱちぱちとさせて不思議そうに言った。
葉音はいじめられている。

私の、せいで。

もう誰にも迷惑なんて
かけたくないから。

「私、葉音のこと嫌いなんだ。」

また1つ、嘘をついた。

「嫌いだから、近づかないで。」

そう言って顔をあげると、

葉音は静かに泣いていた。






「ごめんね、おせっかいで。」



立ち上がって教室を出ていく葉音の
後ろ姿が奏と重なる。

葉音、ありがとう。

また貴女と友達に
なれる日が来ますように。
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