見上げる空は、ただ蒼く
なのに。
私は大きな間違いを犯してしまった。

私にとってのポーラースターが
目の前でその輝きを失っていくのを
私は止められなかった。

行ってみよう、なんてそんなに
軽く口走ったりしなかったら。

あのとき先生なんか呼ばないで
その場でラジオを叩き壊していたなら。

結乃を無理やりあの場から
離れさせて近づかせなかったら。

思い返せば後悔ばかりが募る。

病室で静かに眠る結乃。
自発呼吸が難しい為に口元には
酸素マスクがあてがわれている。

規則的なリズムをもって鳴る機械音。
彼女は見ているだけでも痛々しいほど
全身が包帯だらけなのに、
それでいて安らかな表情で眠っている。

あのあと先生を呼んで戻ってみると
結乃の姿はもうそこになくて。

ホームから電車の来る瞬間に飛び込んで
救急搬送されたと聞いたときは心配で
心配でたまらなかった。

そして、すぐに病院まで行って
涙が枯れるくらいに泣きまくった。

『結乃が自殺未遂した。』

奏には結乃のことを聞いたときに
すぐにメッセージを送った。

だけど、そのメッセージに未だに
既読マークはつかない。

予定ではもう帰ってきているはずなのに
音信不通の奏のことも心配になる。
結乃には奏が必要なのに。

今、この場にいるべきなのは、
結乃に寄り添ってあげるべきなのは
私なんかじゃなくて奏のはずなのに。
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