見上げる空は、ただ蒼く
辞書をぱたんと閉じると、周りに
灯っていた謎の明かりも消えていく。

私は、自分の身体を見下ろした。
テレビや漫画の幽霊みたいに透けていない。
しかも、自分で自分に触れられる。

どうやらまだ死んでないみたいだ。

この暗闇の世界が、部屋なのか外なのか
もはや地球上ですらないのか、
私には全く想像さえもつかない。

すきま風のようなひんやりとした
風が吹いて私の体温を奪い去っていく。

私はその場にしゃがみこんだ。
寒い、辛い、苦しい。
ここにはもう居たくない。

早くなんとかしてここから出なきゃ。

だけど。

現実にも、戻りたくない。
今は、ゆっくり考える時間がほしい。
そっと目を閉じると、愛しい君の声が
脳内に再生された。

『ゆいのちゃん、心は痛くない?』

『俺は、結乃を傷つける奴を
絶対に許さない。』

君はいつでも優しくて。
私をいろんなことから守ってくれて。
友達になってくれて。
愛って感情を教えてくれて。

君からは本当にたくさんのことを
教えてもらったしたくさんの思い出も
一緒に作った。

私は奏が好きなんだよ。
他の誰かじゃダメなんだ。
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