見上げる空は、ただ蒼く
葉音が突然スマホを取り出して
電話をかけ始めた。

「誰にかけてんの?」

と困惑しながら尋ねると、ため息を
つきながら彼女は言う。

「決まってるじゃん。凜から直接
真相を聞き出すの。それが1番早く
真相を知る方法だからしょうがない。
私は真実を知りたいの。」

閑静な住宅街に響く電話の呼び出し音。
凜、気づいてくれんのかな。

心配になった矢先、葉音のスマホから
凜の嫌そうな声が聞こえた。

「なに、急に電話かけてきてさ。
どういうつもりなの?」

「凜、奏ん家からあの古いラジオ
盗った犯人なんでしょ?」

「そうだけど、何か問題ある?」

「ラジオって何色なの?」

「銀でしょ。」

それを聞いた瞬間、葉音はにやりと
詐欺師のような笑みを浮かべた。

「残念。あのラジオは茶色だよ。」
< 242 / 273 >

この作品をシェア

pagetop