見上げる空は、ただ蒼く
見上げる空は、ただ蒼く
少し前に、クラスメートから
そこの話を聞いたことがあった。

『黒鷺の崖で自殺すると、
自分の犯した罪を償えるらしいぜ。』

そのときは罪ってなんだよって
思ったし興味がなさすぎて
そのまま話題をスルーしたけれど、

よく考えてみれば人を殺したやつが
自殺することで罪を償うのは
正しいことなんじゃないのかと思った。

俺は結乃を殺したんだ。

死んで償うべき罪がある。

頭の中でいろいろなことを
考えながら走っているうちに、
気付けば崖についていた。

誰も居ないことに安堵しながら
ゆっくりと崖の淵へ歩みを進める。

1歩歩く度に、結乃との
たくさんの思い出が蘇った。

高い声、澄んだ瞳。

純粋無垢な明るい笑顔。

その全てが好きだったんだ。

崖の淵に立つ。
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