見上げる空は、ただ蒼く
「念のためもう1度だけ緞帳の
タイミング確認の為に
ラストシーンやっていいかな。
ごめんね、何度も。」

緞帳係の子に頼まれて、私たちは
もう1度ラストシーンを演じる
ことになった。

私が床に置いていた短剣を拾って
所定の位置に着こうとすると、凜が
私の衣装の袖を引っ張った。

「少し試してみたいんだけど、
次の練習では胸じゃなくて手首を切る
みたいにしてみてほしいの。
その短剣は演劇部がおもちゃ屋で
買ってきたものだから安全だと思う。
さっきの練習と比較したいから、
よろしくお願いします。」

「分かった。」

私は短剣をみつめた。

おもちゃにしては、すごくよく
出来てるな。刃先の光沢なんかも
本格的だし。

そんなことを考えながら所定の位置
に着いて、ロミオとジュリエットの
ラストシーンテイク2の練習が
幕を開いた。
< 42 / 273 >

この作品をシェア

pagetop