見上げる空は、ただ蒼く
女の人をじっと見つめていると
その姿がお母さんと重なった。
私は怖くなって奏君の背中に
さっと隠れる。

そんな私の変わりに奏君が
説明をしてくれていた。

「結乃ちゃんのお母さんはね、
結乃ちゃんのこと叩いたりするの。
だから2人で逃げてきた。
今日から僕の家に泊めてもいい?」

奏君の言葉に女の人はにこりとして頷いた。

「もちろん。何日でも泊めて
あげていいわよ。」

「お母さん、ありがとう!」

それから、私は奏君と奏君の
お母さんの紗綾さんと奏君の
お父さんと一緒に暮らすようになった。

私のお母さんは
今どうしてるんだろう。

ときどき考えることもあるけれど、
奏君と過ごす生活があまりにも
幸せで、お母さんのことも奏君と
話せばあっというまに忘れて
しまうくらいだった。
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