君~キミ~

3人組

家を出て、少し先のコンビニの駐車場であたしは泣き崩れた。
目の前を通る、3人家族が羨ましかった。
「...うわぁぁぁあ...うぅ、どうして...どうして...?」
あたしが泣き叫んでも、誰も助けなんて来てくれない。楠木の娘だと知っているから。


それから、フラフラしながら、脇道に入っていった。時計もないから、何時かもわからない状態で、そのまま倒れ込んだ。
「はぁ、スマホの充電...23%か...」
と、スマホに手をかける。
『ゆずちゃん、帰っておいで…?お父さんもお母さんも心配しているよ』
...絶対嘘だ、そんなこと言って心配してたことなんてない。
「くそっ!!!」
と、目の前にあった空き缶を蹴り飛ばした。
「いったー、あんた何してくれてんの?」
と、すごい感じの人ににらまれた。
「...すみません、」
「あぁ!?すみませんで済んだらケーサツなんて要らねーんだよ」
...警察...?
「警察なんて信用出来ねぇーよ!お父さんもお母さんもみんなみんな...、みんな大っ嫌いだ...!!!」
と、止まってた涙が溢れてくる。

「...あのお前大丈夫か?」
と、肩を叩かれる。
「すみませんでした...」
と、その場を通り過ぎようとしたとき、手を引っ張られた。
「あたしらで良けりゃ、話聞くけど?」
...え?何かわからないけど、視界が歪む。
「お前泣くなよー!名前なんて言うんだよ?」
「あたしは、柚葉、」
「もし、家にいたくなかったら、あたしらの基地案内するから、いつでも来いよ。紹介するわ、あたしが如月 咲菜。」
「うちが、猪瀬 茉陽琉」
「わしが、白石 美生」
と、一人一人名前を紹介してくれた。

「で、柚葉どしたの?」
と、咲菜が言う。
「あたしね、弟がいたの。でも、3ヶ月くらい前に、ヤンキー仲間のバイクの後ろ乗ってて、死んだんだよ。そしたらさ、お父さんがあたしなんか要らないって言って暴力と、暴言を吐いてくるんだよ、でさ、お母さんに言っても、何も変わらないから、逃げてきた。」
と、言うと、美生は、泣いていた。
「わしも、わしもそんな感じやね。大阪出身なんやけど、兄が死んで、その後お母さん死んで、なんかな、お父さんは、新しい彼女作ってんだか知らんねんけど、結局、娘としては嫌なんやよね…。」
みんな色々大変なんだなぁ。あたしだけじゃないんだ、そう思うとちょっと心が軽くなった気がした。
「今何歳なの?」
と、茉陽琉が聞いてくる。
「あたしは、高一、みんなは?」
見た目的には、大学くらいか?それとも同い年くらいかな…?
「あたしが高二、茉陽琉は、高3。美生も、高校3年生。」
そっか、みんなあたしより歳上なのか...。
「学校はちゃんと行きなよ?うちらは、もう負け犬だから」
「そんなことない...っ、完全情緒不安定だったらあたしに声掛けてくれたから。」
本当にそうだと思う。なにはともあれ、あたしには仲間が欲しかった。このつらさを分かる友達が。

ここにはその友達、仲間がいる。
「なーに言ってんだか」
「ばーか、そもそも、柚葉が空き缶を蹴るのが悪い。」
「そーそー、わしに当たったんやからな!?」
と、3人が声を合わせる。ついうっかり顔がにやける。
「ごめん、ごめんね、美生」
「そんなあらたまんくていいわ!とりあえず、柚葉が元気なったんなら」
なんでこんなに優しいのかな?こんなあたしに...。

「とりあえず、ウチらの基地行こーよ!」
と、茉陽琉が言う。
「そーだね、行こか!」
と、美生。

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