果てしない運命の先に
1 始め

分身の月

地球には表と裏がある。私が住んでいるのは裏側、
エレクトロン星。一部では琥珀星って言うんだって。

この星は地球の表とはほとんど変わらないけれど、
夜はまるで宇宙空間にいるかのように
夜空は満天の星で輝く。

それにこの星にはね、50年に1度、月の分身が地表のどこかに
現れる、“神秘の日”があるの。

本物の月は太陽の光を浴びて輝く。
でもこの月は違う。自ら光を放ち、
あまりにも眩しくなりすぎた部分からは光が飛び出して
月の周りを跳ね回る。

地表からは私の身長よりちょっと低いくらいに、
例えるなら大きいバランスボールみたいな大きさの月が
浮かび上がる。
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