恋する耳たぶ

「ふえっ?!」

ふいを突かれ、おかしな声を上げながら障害物に出会ったハトみたいに頭を引いてしまった私に、匡さんが更に言う。

「散らかってても、何もなくても大丈夫だから……」

少しせつなげに眉を寄せて、私を抱き寄せると、吐息混じりのささやきが耳に触れた。

「早く、2人になりたい」

うまいことかわせる大人の女になれる日が、いつかやってくるのだろうか……

「ワ、ワカリ、マシタ……」

片言みたいな返事をどうにか返し、ぎくしゃくと壊れた古い人形みたいに歩き始めた私。

自称”慣れてない男”の匡さんの攻撃によって、本当に慣れてない女である私がどうなってしまったのかは……皆さんの想像におまかせします……


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