人魚姫の涙
「ショー?」


ポカンとした顔で、彼女を見つめる紗羅。

意味が分かっていないのか、瞬きすらしていない。

そんな紗羅にお構いなしに、彼女は興奮冷めぬまま一気に言葉を紡いだ。


「はい! 私達演劇部は、お芝居だけじゃなく、衣装も自分達で作ってるんです。簡単に言えば、部の中は演技する人と衣装を作る人で別れてるんです」

「うん」

「それで、今年の文化祭でその作った衣装でショーをする事になったんです」

「うん」

「それで、ぜひ私の衣装を2人に着てもらいたくって!!」


早口で一気に説明する彼女の言葉の意味を理解しているのか定かでない紗羅。

うん、うん。と相槌は打っているけど、あの顔は理解していない時の顔だ。


「ずっとモデルが見つからなくて、悩んでたんですけど、さっきの2人を見て、これだー!! って思ったんです!」

「う、うん」

「ショー出ていただけませんか!?」


目をキラキラさせて、そう言った彼女はポカンと口を開けたままの紗羅の手を勢いよく握った。
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