人魚姫の涙
頭の中で段取りをおさらいしていると、コンコンと入口をノックされた。
「紗羅ちゃーん。そろそろ...…わぁっ!!」
バタバタと入ってきた塩谷が俺を見た瞬間、漫画の様に驚いてみせた。
大げさすぎるそのリアクションに、苦笑いを浮かべる。
今更だけど、やっぱり止めとけばよかったと思う。
「す...…すごい。かっこい~……」
「どうも」
「すごいすごい! 私の想像した通りの王子様」
興奮状態の塩谷は、顔を真っ赤にしながら俺の姿をウロウロしながら歓喜の声を上げる。
それでも、俺と目が合った瞬間、更に顔を真っ赤にして黙り込んでしまった。
なんだか不思議な子だ。
「もう私達の出番なの?」
「――あっ!! そうだった! もうそろそろラストだから、大トリの2人はスタンバイお願いします」
「はーい!!」
全く緊張していない様子の紗羅は、ウキウキとドレスを軽く持ち上げて出口へと向かった。