モテてしまう俺


坂田はあくびをかいで目をこすっていた。


坂田らしくて可愛くて
たまらなかった。


俺は、坂田に気付かれない様にそっと近寄った。


「ん?」


こっちの動きに気付いた坂田は目を擦りながら俺の方を横目で見た。



これで、目が合ったのは
3度目だな…

いつの間に目が合うごとに数えていた。



そっと、坂田の肩が
俺の腕に当たっていた。



だが、そんな事に坂田は
あまり気にしていなかった。


それどころか、坂田は
またあくびをかいて
会場に立って熱唱している
ボーカルを見ていた。




坂田は何も感じない
かもしれないけど


俺は感じるよ…。


坂田の肩が当たっている
所が熱いんだ…。



心臓のドキドキだって
激しくなってんだ



俺、こんなにドキドキしたの、お前に恋して初めてなんだぜ?



女にまったく興味がなかった俺が、男にまったく興味ないお前に恋したんだ。




坂田と、こう隣で
立ってるのが
何だかいいんだよな…。



このまま時間が止まってほしいかな…。

< 42 / 62 >

この作品をシェア

pagetop