危ナイ隣人
かくいう私も、【帰りついでにみりん買ってきて】とか【ご飯できた。お土産待ってるね♡】なんてメッセージしか送ってないから、いい勝負だよなぁ。


あ、もちろん、ハートは正規の使い方じゃないよ。

それをわかってて、ナオくんはそのメッセージを無視するんだ。ちぇっ。


ご飯作ったご褒美に、デザートくれたっていいじゃんねぇ?


なーんて思ってたら、またナオくんからメッセージ。



【明日は晩メシうちな。お詫びになんか買って帰る】



やったぁ!

うちで食べられるか? って疑問形じゃないところは、この際スルーしておこーっと。



【じゃ、キルフェ●ンのケーキでよろしく】


【アホか。近くに店ないだろ】



確かに都心の方に行かなきゃ、お店ないけど。

かなり遠いから私も行ったことなくて、いつか行ってみたいと思ってて。

希望をぶつけてみたけれど、案の定却下された。


ていうか、スイーツとかキャラじゃないのに知ってるなんて……さては女だな。



【昨日行った居酒屋に電話したら、キーケースごと落ちてたらしい。明日の夕方取りに行くから、帰ってきたら連絡する】


【りょ】



よかった、あったんだ。

見つかってよかったけど……なんでその時気付かないかなぁ。



会話がひと段落して、ふーっと息を吐いて目を閉じると、昨晩のナオくんの姿が思い起こされた。


ぐったりしてたくせに……見たこともないような顔をしたナオくん。



「やめやめっ。本人覚えてないって言うし、私の見間違いだよ」



廊下の蛍光灯、そんなに明るくないし。 

ぶんぶん頭を振って、思い浮かんだお隣さんの姿をかき消す。


そんなことをしているうちに、またスマホが震えた。
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