危ナイ隣人
白くのぼる煙の向こうで、ナオくんが膝をついて私の言葉を待っている。


ぐっと声が詰まりそうになったところを、お腹に力を入れて堪えた。



「頑張って成績が上位に入ったら、ご褒美ください」



それでも萎んでしまった語尾と、同じリズムで落ちた視線。


テーブル席の足元に広がる暗闇の中で、使い古したローファーを意味もなく踊らせた。



「ご褒美って……ガキかよ」



少しの間の後、テーブルの向こう側から飛んできたのは、笑い混じりの低い声。


反射で口をきゅっと結ぶと、ナオくんが少し慌てた様子で首を振った。



「バカにしたわけじゃねぇって。先走るなよ」


「……だって、ガキって言った」


「引っかかったの、そこかよ。んなもん、前から言ってんだろーが」



それもそうか。……って、そういう話じゃないんですけど。



「で、何が欲しいんだ?」



小さいヘラで土手を壊して、迷いなく生地と混ぜていくナオくん。


店内のオレンジ色の照明に照らされて、睫毛が頬に影を落としている。


出来たぞ、って言われて、ほぼナオくんの手によって完成したもんじゃに手を伸ばした。



「それはまだ、秘密」


「なんだそれ。知らないと叶えられないだろ」


「それもそうだねぇ。じゃあ、1つ目だけ教えてあげようか」


「待て、複数あるなんて聞いてないぞ」



ふーふー息を吹きかけて冷ましてから、もんじゃを口に入れる。

とろとろの中にキャベツやイカの旨味が凝縮されていて、思わず唸りそうになった。


これは美味しい!

ナオくんが太鼓判を押すのも納得!
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