危ナイ隣人

冷メナイ熱

どれだけつらいことがあったって人間必ずお腹は空くもので、世界ってある意味上手くできている。


これはお兄ちゃんがいなくなった時に思ったことなんだけど、今また似たようなことを感じている。




「ねぇ茜、生物のテスト範囲ってどこからどこだったっけ!?」


「P.31からP.67! ただしP.53は除く!」


「昴〜! なんで勉強って必要なんだ〜」


「原点回帰するな。さっさと解け」



衣替えも済み、肌にじんわりと汗が滲む今日この頃。


私達5人は今、期末テストの勉強に追われています。




「こんな英語の文法、授業でやってなくない……?」


「やってたよ! てか、くるみの教科書にもライン引いてあんじゃん!」


「えぇ〜? おっかしいなぁ〜」



右を向けば左が呼んで、左を向けば今度は向かい側から呼ばれる。


斜め向かい側に座る塚田くんとバチっと目が合って、お互いに苦い笑みを浮かべて肩をすくめた。
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