とりあえずセックスをしよう
物心ついたときから、

頬には父の手形がいつもあった、熱い熱い手形があった。

腹には父の拳がいつもあった、大きい大きい拳があった。

横には泣いている母があった、小さく丸まった母があった。

そんな家で育った。立派に育った。

母の泣き喚く声が耳に残り、女性が嫌いになった。

煩く、五月蝿く、キンキン頭に響いて割れそうになる。

すると父が頬をひっぱたく、

頬が痛くて頭が痛いことなんか忘れてしまう。

母のせいで頭が痛くなる、だから女性が嫌いだ。

母は女性だから。

父も嫌いだ。

すぐに母や私をひっぱたく、引きずり回す。

ちょき以外の手を使って、私たちを殺そうとしてくる。

嫌われるとダメだ。嫌われたくない。

いい顔をしないと。機嫌を損ねないようにしないと。

母にストレスを感じる。

一々言い返してしまう母、

私と父の間に入り私へのパーを代わりに受ける母、

余計激しくなる、長くなる。母にストレスを感じる。

感じざるをえなくなる。
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