アホほど美少女が転校してきた話
回文人間、成功のような失敗のような成功をする。


 え、え、は? なに?


 今、目の前で、何が起こっている?



「神無月悠です。よろしくお願いします」



 教室の壇上で、にこっと笑うのは、紛れもなく美少女である。


 清楚な黒髪ロングで、色を抜きすぎてもう白に近くなった金髪な私とは大違い。


 目だってぱっちり大きくて、ナチュラルメイクだというのにあのまつげの長さは明らかにおかしい。


 極めつけに、足が細すぎる。なんだあのスタイルの良さ。


 これまた昨日妹に「おねぇの太もも大根もちみたい」と言われた私とは大違い。なんだ大根もちって。大根じゃないんかい。妹よ、なんだそのチョイス。


 芸能人でも滅多に見ることのない美少女を目の前に、寝ぼけ眼が覚醒してしまった。朝の連絡なんてろくに聞かないで春の陽気にうたた寝するいつもの私らしくもない。


 しかし、周りを見れば自分が例外ではないことを知る。


 クラスの誰もが彼女を焼き付けるように凝視し、夢か幻かとペンケースからカチカチとカッターまで出して自害しようとする男子まで存在した。


 カッターなんて持ち歩くんじゃありません!



「わ、わ。どうしてカッターなんて出してるんですか? 危ないですよ」



 その男子に対して、美少女転校生は注意する。そして、またにこっと笑った。


 あ、ご臨終です。笑顔が天使すぎて机に血だまりを広げながら彼は倒れてしまいました。恐るべし、美少女。すごいね、人って美貌だけで人を殺れるんだね。

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