僧侶とホストと若頭、3つの顔に揺れる恋
「へぇ。他には」

「店の軽食メニューの味を少し変えた。ポテトサラダとサンドイッチは絶品だ」

「悠斗のレシピだろ。あたしも食べたい」

「わかった。夜食の差し入れにな」

「ヤッタ!」

「凛子、内緒な」

どや顔で話した後、悠斗はあたしの手をとり、小指に指を絡ませた。

あたしと悠斗だけの秘密。

悠斗のことだ。

他にも秘策を実行していて、あたしに話したのは1部だと思った。

でも悠斗と指切りした、悠斗の指のしなやかさと温もりで、あたしの胸は熱くなっていた。

「なあ、悠斗もそのトレードシステムでグループ店を回っているのか?」

「ああ。オーナーだということは隠してあるからな。表立ってオーナーとしてグループに顔を出しているのは、蜷川常務だからな」

「そうなんだ」

「俺がオーナーだと言っても誰も信じないだろうし、なめられるよ」
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