【続】碧くんしか見てないよ
『まだ全然、お互いのこと知らないから…これから、知っていきたい』
碧くんにわたしの気持ちを信じてもらえたあの日から──1ヶ月が経ち、7月も半ばとなった。
今日は待ちに待った金曜日。
「──紺野さん、待たせてごめん!」
時刻は夕方の6時30分。
教室で課題を済ませていたわたしは、25分には正門でそわそわしながら彼を待っていた。
「ううん、課題してたから大丈夫!」
「そっか、それならよかった」
安心したようなあどけない笑顔に、わたしの胸はキュンと高鳴る。
グラウンドのほうから走ってきてくれた彼の名前は碧くん。
わたしの…………好きな人。
「じゃあ、帰ろっか」
「うんっ」
わたしと碧くんはふたり並んで、駅までの帰り道を歩き始めた。
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