男子嫌いの夕ちゃんは、幽霊(男)と恋に落ちた!?

7、幽霊さんのホンシン

目の前に、悪夢のアレが蘇る…
そう、目の前にあの幽霊の彼が姿を表したのだ。
すると…
『うわっ!?ゆ!?幽霊!?』
と、言う告白してきた彼の顔が青ざめていく…
そして、ついには、教室から、逃げ出してしまった…
『…はぁ…たす…かった…』
と、彼が居なくなった途端に、身体中の力が抜けてしまう。
すると…
色々とパニックに成って、きちんと回っていなかった思考が動き出す…
『あれ?今…私…誰に助けられたの?…』
気付くと、身体中が怯えを感じ始めた…
(でも…助けてくれた…のかな?…
分からない…けど…もし…助けてくれたのなら…)
『あ、あの…幽霊…さん…』
私は、震えつつも、幽霊さんときちんと目を合わせて、話しかける。
いつの間にか、先程の怒った表情から、心配そうな顔をしていた幽霊さんは、
『な…なんですか?…』
と、きちんと反応してくれる。
(大丈夫。害有る事は言わない。
幽霊さんをさっきみたいに怒らせるような事は言わない。)
心の中で深呼吸してから、私はなんとか怯えを噛み殺して、言葉を紡ぐ。
『あの…幽霊さん…貴方は…私を助けてくれたんですか?…
だとしたら…ありがとうございました…
私…幽霊さんが居なかったら…
本当に…どうなっていたか分かりません…
ありがとうございました…』
すると…
『い、いえ!!そ、そんな大それた事は…
俺、取り敢えず悪い事しようとしてると思っただけで…』
と、急に幽霊さんはあわてふためき、照れ始めた。
幽霊さん、案外可愛い?…
『あ、後!その…俺、幽霊なのに…怖くないの?…
さっきの人とか皆みたいに…
逃げ出したりしないの?…』
と、寂しそうな顔で質問してくる。
(もしかして…幽霊さんは…
いつもこうやって逃げられて、傷付いていたの?…
本当は人とも仲良くしたいのに…
寂しい思いをずっとしていたの…?)
急に、酷い事をしてしまった罪悪感と、それでも、私が忘れた懐中電灯を持ってきてくれたり、こうやって助けてくれたりしてくれる幽霊さんは、本当に純粋に良い(幽霊)だと思う気持ちが芽生える。
『もう…に…逃げません…
逃げてごめんなさい…
幽霊さんはなにもしていないのに…
むしろ、優しくしてくれていたのに…私…』
悔しさと幽霊さんの今日までの日々を想像した悲しさで、泣きそうになるのを必死で堪える。
(此処で泣きたいのも、泣くのも、私じゃない。
本当に泣きたいのは…幽霊さんの方だ…)
必死で堪えながら、返事を待つ…
すると…
『そ、そんな事…
お、俺だって…人間が怖くて…
君から最初は逃げた…
だから…我が儘だとは…自分勝手だとは思うけど…
罪滅ぼしがしたくて…それで…
出来る限りの優しい行動を取ろうとしただけで…
結局、さっきの人を怖がらせた…』
本当に幽霊さんが健気で優し過ぎて泣けてくる…
それでも、堪えながらも私は…
『幽霊さんは…何も…悪くありません…
むしろ、良い人だと思います…
私は、幽霊さんみたいに、透けていないし…生身の人間です…
だから…分かる事なんて…少ないです…でも…
ずっと逃げられて…でも…本当は仲良くしたかったんですよね?…
でも…勝手な偏見や噂で怖がられて…
私だったら…
もしかしたら…人を嫌いに成って…
悪い事をしているかもしれません…
でも…幽霊さんは…そんな事してない…だから…
幽霊さんは…幽霊さん自身にも…
優しく…してあげて下さい…』
何とか心の内を精一杯伝えようとする。
『…俺は…そんなに…綺麗じゃないよ…
酷い事を…昔はしたよ…
でも…何故か…君には…
悪い事をしようとは…思えなかった…
何でだろうね…?…
それは…自分でも分からない…でも…
ありがとうって…思ってるのは…嘘じゃない…
本心だよ?…
こんなに優しくされたのは久しぶりだし…
こんな俺に優しくして…何がしたいのか分からない…
でも…優しくしてくれるのは…
その…凄い…嬉しい…』
と、幽霊さんも応えてくれる
『幽霊さん…私だって…綺麗じゃないです…
人間は…多分幽霊も含めて…
完璧なんてあり得ません…
人間以外だってそうです…
だから…もう少し…幽霊さんも…
悪い所ばかりじゃなくて…
幽霊さん自身の良い所も…
見てあげて…下さい…
て…こんなの…少ししか生きてない上に…
幽霊でもない人に言われたくないですよね…』
と、自分で言って、後悔してしまう…
すると…
『そんな事無い…今…凄い元気づけられた…
ありがとう…』
と、幽霊さんは、笑顔に成る。
初めての幽霊さんの笑顔…
それは…

とても綺麗で美しい物だった…
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