氷のような彼は陽だまりのように暖かい
「ここが薫の部屋よ。」
「ありがとうございます。」
なんだか改めて来ると緊張するような気が…。
「何してんだ?」
行くか行かないか迷っていると目の前の襖が突然ひらいた。
「ひゃぁっ!!」
「そんな所にいると湯冷めする。」
薫さんは何食わぬ顔で私を招き入れた。
なんだか変に緊張していたのが馬鹿らしい。
「ちゃんとあったまったか?」
「はい、家のお風呂が温泉だなんてびっくりしました。」
「まあ初めて見るしな、驚いて当然だ。」
薫さんのことをよく見ると髪の毛から水が滴っていた。
同じくお風呂上がりなのだろう。
「薫さん、お水垂れてますよ。」
自分で持っていたタオルで頭を拭いてあげると大人しくされるがままだ。
「ふふ…」
なんだか可愛い。
「どうした?」
「いえ、こんな風にしてるのが現実なんだなぁって実感していただけです。」
「そうか。」
あの場所にいた時はこんな風に自由にすることは出来なかった。
今ある現実がすごく幸せに感じる。