偽物の恋をきみにあげる【完】

「ん───っっっ!!」


促進剤を打たれてから6時間後。

私は分娩台の上で、あまりの苦痛に発狂しかけていた。

「力抜いて、ちゃんと呼吸して」

ムリムリムリムリ!

助けて!

腰割れそう、骨盤砕ける!

お腹痛いお腹痛い、太もも痛い、痛い痛い痛い!

あまりの痛みに一瞬意識が飛んで、でもまたすぐに凄まじい痛みで目が覚める、の繰り返し。

何が何だか分からなくて、錯乱しそうだ。



「はい、いきんでー」

「呼吸してー」

「んーーー、痛いっ、痛いっ!!!」

「大丈夫、はい、息吐いてー」

フーッ、フッ、フッ、フッ……

「そうそう。ちょっと腰落としてー。そう。うん、上手」

「痛いっ…………」

ムリ! 裂ける! 体ちぎれる!

苦しい、苦しい、苦しい!

助けて、大河、助けて! 大河! 大河!!









『頑張って。もうすぐ会えるよ──』




大河の声が、聞こえた気がした──。








「……ンギャア! オギャア! オギャア!」



「よく頑張ったね。元気な赤ちゃんよ」

私達の小さな小さないのちが、滲んだ視界にやけに神々しく映った。
< 196 / 216 >

この作品をシェア

pagetop