偽物の恋をきみにあげる【完】
「ん───っっっ!!」
促進剤を打たれてから6時間後。
私は分娩台の上で、あまりの苦痛に発狂しかけていた。
「力抜いて、ちゃんと呼吸して」
ムリムリムリムリ!
助けて!
腰割れそう、骨盤砕ける!
お腹痛いお腹痛い、太もも痛い、痛い痛い痛い!
あまりの痛みに一瞬意識が飛んで、でもまたすぐに凄まじい痛みで目が覚める、の繰り返し。
何が何だか分からなくて、錯乱しそうだ。
「はい、いきんでー」
「呼吸してー」
「んーーー、痛いっ、痛いっ!!!」
「大丈夫、はい、息吐いてー」
フーッ、フッ、フッ、フッ……
「そうそう。ちょっと腰落としてー。そう。うん、上手」
「痛いっ…………」
ムリ! 裂ける! 体ちぎれる!
苦しい、苦しい、苦しい!
助けて、大河、助けて! 大河! 大河!!
『頑張って。もうすぐ会えるよ──』
大河の声が、聞こえた気がした──。
「……ンギャア! オギャア! オギャア!」
「よく頑張ったね。元気な赤ちゃんよ」
私達の小さな小さないのちが、滲んだ視界にやけに神々しく映った。