無愛想な王子は理想の花嫁に求婚する
中庭では動物達がいつもの場所に座りこちらをじっと見ていた。

やっと来たか、といったような雰囲気に思わず眉を潜め、いつもティアナが座っていた場所に座り辺りを見回す。
誰もいないことを確認して再び動物達に視線を戻すと、ティアナは生きているか?と聞いてみた。

「にゃあっ!」

「……」

「クー!」

「……」

「ピィピィ!」

「……全くわからない……」

ティアナの手紙に従って動物に話しかけた自分が恥ずかしく感じ、思わず額に片手を当て俯いてしまった。

「にゃにゃ!にゃー!!」

猫の鳴き声にふと顔を上げると、動物達が何やら一列に集まりグルグルとその場を回り始めた。
その様子を見ていると、にゃー!と猫が一鳴きし、それを合図にピタッと動物達が止まりこちらを見てくる。

「……なんだ?」

動物達の意図が見えずじっと見ているとすぐ近くから、おや、芸でも仕込んでいるんですか?と声が聞こえた。
振り返ると昔からいる庭師が穏やかな顔で動物達を見下ろし、綺麗な円に並んでますね。と言って、それでは。と去っていった。

「……円?」

その言葉に立ち上がり見下ろしてみると、確かに動物達は綺麗な円を描いていた。
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