無愛想な王子は理想の花嫁に求婚する
アレクシスが執務室から庭を見下ろすと、最近よく動物達がじっとこちらを見ている。
それは猫だったり、うさぎだったり、たまに木の上にいるリスか鳥だったりもする。

「……俺は監視でもされてるんだろうか」

思わずそう呟いてしまうほど、動物達は頻繁に執務室を見つめていた。
暫くアレクシスもじっと動物達を見ていると、その動物達に餌をやりに来たのか庭師の格好をした見知らぬ少年が野菜くずを持ってきた。

「あれ？知らない子だね、最近入ったの？」

「……なんでここにいる、ユアン」

そして何しに来た。と音も気配もなく、いつの間にか隣に立ち同じように庭を見下ろしているユアンにアレクシスは視線だけ寄越した。

「だから、ティアナへのアプローチだって。
で、あの子は新しい子？」

「そういえば、王妃が動物達の世話をするための使用人を雇ったと聞いた気がするが……」

「動物達の世話？
もしかしてティアナのために？」

「王妃はティアナを気に入っているからな」

じゃあ、俺は敷地内に動物園でも作ろうかな。と呟くユアンにアレクシスは呆れた視線を向ける。
それで簡単に靡くなら苦労はしないだろうと。そう思いながら野菜を食べる動物を見ていた。
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