愛しい君の為なら何だって
出会い
彼女と出会ったのはこの季節の花たちが咲き始めるころだった

彼女と出会ったのは俺がかなり気に入っている夕日の見える丘

人も少なく、考え事にかなりぴったりな場所

散歩をしていたら見つけた俺のお気に入り

すごくマイナーなのであまり人がいないのに、
その日は人が、しかも女の子がたっていた

颯「やあ、こんなところで何してるの?」

俺はいつものように趣味のカメラを取り出して撮影を始める

璃「…盗撮魔?」

これが彼女との出会いだった

颯「盗撮魔とは失礼だなあ」
 「俺は桜川颯」
 「君の名前は?」

俺は軽やかなリズムで彼女の名前を聞く

璃「私の事、知らない人がいるんだ、意外」

彼女が何かつぶやく

小さな声なのであまり聞き取れなかった

俺が聞き返そうとする前に彼女は名前を言った

璃「芥川璃々」
颯「璃々さんはこんなところで何してるの?」
璃「さん付けはやめてくれる?」
 「あ、怒ってるとかそういうのじゃなくて、さん付けは嫌いていうか…」
颯「じゃあ璃々?」
璃「うん、そっちの方がいい」
颯「で、璃々は何してるの?」
璃「うーん、別に、何となく夕日を見に来た?みたいな」
 「そっちは?」
颯「俺は普通に夕日を見に来たんだ」
璃「ふーん…」

しばらくの間、沈黙が続く

俺は夕日を見る彼女の横顔を眺めてみる

長くて触り心地のよさそうなミルクティー色の髪の毛

意志の強そうなつり目に、大きなサファイア色の瞳

全体的に可愛い系の雰囲気

そんなことを考えていると、突然彼女が俺の方を見た

璃「ねえ!」
 「また、会えるかな?」

なかなかかわいいことを言うな、と思った

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