スイート ジャッジメント 番外編
「どしたの?」
「……なんでも、ありません」
「え、何。その喋り方。俺なんかした?」
「ううん。何にもしてない、です」
湊には普通の事なんだよね、さっきみたいな女の子。去年の文化祭でも……囲まれてたし。……メンタルってどうやって鍛えるんだろう。
「うち、ここね」
湊が足を止めたのは、閑静な住宅地の一軒家。二台車を停められるカーポートには車はなくて、少々年季のはいったバスケットボールのゴールが確かにそこに佇んでいた。
「で、目の前、千紗んち。で……」
目の前の家の表札には、確かに東海林の文字。そして、湊は視線を東海林先輩の家の左どなりへと向ける。
そこは、塀はあれど家そのものは一軒分先にあった。
「あれ、友香んち。でけぇっしょ」
それだけ言って、湊は家の鍵を開けて中に入る。
……ええと。もしかしなくても、車も無いしご両親、不在?
「あ、湊。これ」
駅で買ってきたお菓子を出したら、別にこんなの要らないのに、と苦笑いされた。
「俺の部屋、上ね」
「……うん」
階段を登ってすぐドアが2つあった。そのうちの右側のドアを開けて、湊が「どーぞ。あんま片付いてないけど」と入るように促した。