燻る紫煙
かちかちと二度音をさせ、煙草に火をつける。

すぅ……

息を吸って、ふーっと煙を吐き出した。

眉間にしわを寄せ、煙草を吸うあの人の横顔を、私はベッドに横たわりながら眺めている。

セックスが終わった後、あの人は必ず煙草を吸う。

私は煙草が好きではない。

むしろ、苦手だが、

その間、重い、長い静寂が、私とあの人を包み込む。

時折あの人の煙を吐き出す音と、灰皿に灰を落とす音、そして時計が時を刻む音だけが響く。

私はゆっくり視線をあの人の横顔から、白い天井に移した。

ガサッ。

横であの人が起き上がる。

「帰る」

私は視線を天井に残したまま、無言でうなずいた。

あの人は、床に無造作に脱ぎ捨てられた下着とスーツを取り上げ、機械的に身につけていった。

その間、私はあの人を一度も見ることなく、

ガチャン。

と、玄関の扉が閉まる音を聞いた。

動く気になれない。

何もする気にならない。

何も考えたくない。

部屋にほのかに残るあの人の煙草の香りと、

私の体に強く残るあの人の体の痕跡を抱いて、

私は眠りについた。
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