溺れろ、乱れろ、そして欲しがれ
二杯目からは慶太が作ってくれた。

だけど、今までとは違う。

マスターと同じ、本来の濃い目の味だった。

それが何を意味していたのか

このときの私は気付くこともなく、不満げな顔をひたすらに慶太へと向けていた。

これまでの私も、本当にぶちのめしてやりたいくらい

愚かだった。

慶太の本音を知ろうともしなかったから

甘えていただけの私。

慶太が作りだすカクテルたちに酔いしれて、いつの間にか足元は覚束無いほどになっていた。


「希、帰るよ。」

「あ、うん。」

立ち上がろうとしたけど、身体が言うことをきかない。

ヤバい。

飲み過ぎた。いくらなんでもバカだ

「ごめん、慶太。立てない」

「っとに、もう。飲み過ぎなんだよ。止めなって言ったのにさー。」

そうだ、確かにそう言われた

だけど、飲んだのはどうしてだろう

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